走り出せ、コスモス<前編>


休み時間 教室移動をしていると、田中先輩が話しかけてきた。

「吉風さん。」

「あ、こんにちは。唯にアド、聞かれました?」


私、意外に心が強くなったのかもしれない

自分もけっこう落ち込んでるのに

唯のことも考えられるようになってる

成長 したかも



「ああ、聞かれましたね」

「ああそうですか。じゃあ」

去ろうとすると、

「あ、ちょっと」

って、デジャヴ。



「アド教えてくんない??」

「え?」

「自分の。」

先輩は私を指差した。


「私のですか?」

「ダメ??」

私は田中先輩と

かなり相性が悪いのかもしれない

指差されたのと

先輩のその聞き方に

若干イラッとした。


イラついて

断ろうとした。

唯もそんなこと知ったら

へこむだろうし…



その時

先生のことが頭をよぎった






「いいですよ」




それからメモ帳に私のアドを書いて、先輩に渡した。


先輩からは、その日の夜にもうメールがきた。

先輩の返信の時間、約15分。


その15分という微妙な時間から

先輩が一生懸命一字一句じっくり考えてるのが伝わってくる。



そのメールに、私は15分くらいで返信する。






――私は

もうこうするしか思いつかなかった









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