走り出せ、コスモス<前編>


やせてるころは

周りの大人たちに
可愛い可愛いって言われ続けてた。

それより前は
古すぎて、そうやって育った記憶しかない。


沙枝ちゃんは勉強も運動もできてすごいわね、

おまけに可愛くて

スタイルもよくて、


女優さんになったら?


なんて・・・


それが今では――…。


そのころはいつも 可愛い服を着てた

お母さんに着せられてた時期も合ったけど

小4くらいからは一緒に買いに行ってて 可愛い服が大好きだった


でも今では

毎日 同じようなTシャツにジーパン。

可愛い服はラインが出るのが多くて

そんなの 着れない


着ても誰も可愛いって
言ってくれない


称賛という甘い密は

無くなった途端

巨大な虚栄心に変わる


食べては襲ってくる

罪悪感

そして 嫌悪感―――



もちろん何度もダイエットをしようとはしたんだけど…

結果は今の私の体を見れば一目瞭然。


別にデブってわけじゃないけど…

寂しいし…悔しいよ






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