走り出せ、コスモス<前編>


1時間目は藤石先生の英語。

宿題と予習はバッチリ。


「『~する限り』

これまだ教えてないですが…


知ってる人いますか?」


誰も手を挙げないみたいで、周りを見てから私は手を挙げた。


「あっはい、じゃあ吉風さん」

「as long asです」


「はい、よく知ってましたね」

先生が優しい笑顔を私に向けてくれた。


そういえば先生
名前で呼ぶとかあの一件

どうなったのかな

あれから授業でしか
会ったことないから

一度も呼んでくれてない



今なら もしかしたら


自信を持って

下の名前で呼ばれるのに返事できるかもしれない



先生、私変わった?


そんな見てくれてるなんて図々しく思ってるわけじゃないけど

ちょっとでいいから


輝きを取り戻し始めた私に

気づいてくれないかな






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