走り出せ、コスモス<前編>


私は先生に、昨日までのことを話した。

ホントはすっごく頑張ったこと

すっごくいい点とりたかったこと

点数 悪かったこと


先生は、次の授業がすぐ始まるのに、

ずっとそこにいて私の話を聞いてくれた。


「先生、授業は…」

…なんて ホントは行かないでほしい。


でも、先生としての先生もすきだから。

普段なら、絶対授業に遅れたりなんてしないから。


「いいから。」


先生の語気が強いのに、圧倒されてしまった。


そのまま私は

周りはもっとできてたことまで 最後まですべて話した。


話し終わると、先生は真剣な表情のまま

語り聞かすように 一言一言 丁寧に言った。


「沙枝ちゃんは頑張ったよ。

それは俺がちゃんと分かってる。

自分より上の人に初めて出会って、悔しいって思ったんだね。」





< 32 / 128 >

この作品をシェア

pagetop