走り出せ、コスモス<前編>
先生は、ひざを床について
私の両肩に優しく触れた
「この病気は、頑張り屋さんがなりやすいんだって。」
先生の目を見ると、
先生は優しい顔で笑ってた
「もう頑張らなくていいよ。
沙枝ちゃんは、
もう十分
きれいになったから」
桜の花びらが
先生の足の上に落ちた
と同時に
大きな風が吹いて
花びらのかたまりが入って部屋中を舞った
ひらひら ひらひら
その風は私の髪を振り乱した
先生が触れてる肩から
先生のぬくもりが
ゆっくり 伝わってきた
「私…
ちゃんと食べる…」
人前で泣いたのは初めてだった
よしよしって
先生は私の頭を撫でてくれた
先生
ありがとう
ホントに …ありがと
私
やせることしか考えてなくて
方法とか考えなかった
健康でいなきゃ
意味ないのに
自分が変なこと
気づいてなかった
危なかった
もしかしたら私
そのまま…
気づかせてくれて
先生
ホントに…ありがとう