走り出せ、コスモス<前編>


授業が始まって5分。

それは先生の実力を知るのに十分すぎるほどの時間。


私は驚きを隠せなかった。

最後まで、胸が高鳴ったままだった。


ベテランじゃないから…とか

予想外。


藤石先生は、教えるのがすっごく上手だった。

それはもう、
感動してしまうくらいに。


リスニングや音読の時間配分は的確で、

授業80分無駄がない。


途中に

熟語表現や品詞分解をはさんで

集中して聞いてないとついていけないから

頭はフル回転。


教える順番は一番合ってるし

ここだ!って

タイミングはぴったり。



年なんて関係ないんだって…

目の当たりにした。



「藤石先生、すごいよね」

帰りは、家が近所の真緒ちゃんと一緒に帰った。

自転車を走らせながらそう言ったのは、私。


「うん!教えるのがうまいって先輩から聞いてたから、先生が教えてくれてラッキー!」

だよねだよねって、

二人ではしゃいだ。


藤石先生、

今まで見た中で一番すごい先生。


これは、成績上がっちゃいそう…


授業、楽しみだな







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