走り出せ、コスモス<前編>
角を曲がると
目の前が
ピンクに染まった
私の心を ここまで深く 揺り動かすのは
もちろん 先生だけ
「あ」
視線が合わさる
「いた」
先生が微笑みながら階段を上がってきた
「どうしたの?」
なんて、理由なんかどうだっていい
会えた…!
てか
先生 私になんか用事が !?
私には 先生を見るって 用事が
ばったり出くわすなんて
なんて 奇跡
なんだか、もう満足なような 気持ちになった
腕の震えが止まった
だけど、またすぐに足りなくなる
もっと もっと…って
先生…
「森定さんが、沙枝ちゃんと来たって言ってたの聞こえたから」