走り出せ、コスモス<前編>


「吉風さん、ちょっとここが分からないんだけど…」


ウワサの武町くんにそう話しかけられた。


「えっ? 私っ??」


私そんな、全然教えられるとこないと思うんだけど…っ!


「だって吉風さんいつも予習やってるし

授業中も当てられたら答えられるし」

え!?

だってまだ3日くらいしか授業してないし!

てかみんな予習してないの!?


「俺、吉風沙枝って名前、模試の上位者名簿で知ってたよ」

私がこのクラスで一番頭いいと思ってた子にそう言われて

すごく照れ臭かった。


「3年の秋くらいから突然現れて、ぐいぐい上げてくから俺超焦ったもん」

上位者の名簿とか、

見たことなかった。


県は広いし、

関係ないものかと…


…そっか

私、そうだったんだ


武町くんたちに

そう思ってもらえるくらい

結構やれてたんだ


中3の時のあの血の滲むような努力は

一高合格よりもっと上まで連れてってくれてたのかな


もしかして

一高でもやっていけるかも…!?








< 7 / 128 >

この作品をシェア

pagetop