初恋+one
いつまでたっても言い出せなくて、
俯いて口をつぐんでいると、
「とりあえずココは人が多いから、
・・・・・・・・ちょっと出るぞ」
そう言って、
貴大はあたしの右手を取った。
人ごみを掻き分けて、
どんどん先に進む貴大。
貴大につられて、
あたしの足も勝手と動いてる。
トクトク小さく心臓が脈打つ。
貴大と繋がるあたしの右手が、
どうしようもなく愛おしく思える。
手から伝わるぬくもりが、
こんなに温かいなんて思わなかった。
あたしは結構意地っ張りだって、
この前あかりが言ってた。
『こうだ』って決めたら、
絶対に考えを変えないんだって。
あたしは、旬が好き。
ずっとそうだったから、
気持ちの変化なんて認めたくなかった。
『軽い気持ちじゃない。
すごく旬が好き。
絶対に気持ちは変わらない』