初恋+one
先に歩く貴大の後姿を、
一生懸命目に焼き付ける。
黒くて、あたしより硬そうな髪。
がっちりした肩幅。
部活で小麦色になった肌。
つないだ手の感触まで、はっきりと覚える。
あかりは何にも言わないけど、
あかりは創平君が好きだと思う。
たぶん貴大はあかりが好き。
そしてあたしは、
貴大が好き・・・・・・・・
これなんていうんだっけ?
四角関係、かな。
あかりを応援したいけど、
そうなったら貴大はどうなるの?
あかりと創平君が付き合うことになったら、
貴大はいつものように、
笑っていてくれるのかな・・・・・・・・
「柊? だいじょうぶか?」
気が付くと貴大の足は止まってて、
人の少ないところに来ていた。
「あ、だいじょうぶ・・・・」
「そか」
貴大が返事をすると、
つないでいた手がするりと離れる。