初恋+one
それだけで、酷くがっかりしてしまった。
握られていた手をぎゅっと握り締め、
貴大のぬくもりを閉じとめる。
「ここ、階段あるし座ったら。
下駄で足とか痛いっしょ?」
そう言って、自分が着ていたシャツを
脱いで下に敷いてくれた。
「あ、ありがと・・・・・・」
何となく返事がぎこちなくなっちゃって、
顔を見られないようにしながら腰をおろす。
足痛かったの、知ってたんだ。
「人がいなくまで、もうちょっと待つか。
多すぎて帰れないだろうし」
そういいながら、貴大はあたしの隣りに腰をおろす。
まっすぐ前を見つめる貴大を見てると、
自然にこんな言葉が出てしまった。
「貴大は好きな人いるの?」
言ってから後悔した。
あんまりいきなり言っちゃったもんだから、
貴大もビックリしてる。
「ごめ、何聞いてんのかなあたし。
ごめんね? あたしもなんか
色々言っちゃってるし、貴大がどうかなー?
って思っただけだから!」