初恋+one



押し殺したように笑う貴大に、
ぶーっと口を膨らませて拗ねる。



椅子みたいな脚立を持ってきて、
本棚のすぐ前に置いた。



「あっ!」


「ん?」


「それあたしが取るよ」


「はい?」



だってさっきはあたしが取ってもらったから、
おかえしみたいな。


さっき貴大が設置した脚立に、
貴大の返事を聞かずに乗った。



「ちょ、あぶねぇよ」


「あぶなくないよ。
大丈夫! あたしに任せて!」



貴大が取ろうとしてる
参考書に手をかけて抜き取る、

これも固いなぁ・・・・・


ぎっちぎちに本が入ってて、
抜くのには力が必要だった。



くっそー・・・・・



下から「大丈夫?」って言う
貴大の声が聞こえる。



思いっきり力をこめて引っ張ると、
スポンッと本は取れた。






「わぁ!」

「あぶね!!」




< 159 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop