初恋+one
押し殺したように笑う貴大に、
ぶーっと口を膨らませて拗ねる。
椅子みたいな脚立を持ってきて、
本棚のすぐ前に置いた。
「あっ!」
「ん?」
「それあたしが取るよ」
「はい?」
だってさっきはあたしが取ってもらったから、
おかえしみたいな。
さっき貴大が設置した脚立に、
貴大の返事を聞かずに乗った。
「ちょ、あぶねぇよ」
「あぶなくないよ。
大丈夫! あたしに任せて!」
貴大が取ろうとしてる
参考書に手をかけて抜き取る、
これも固いなぁ・・・・・
ぎっちぎちに本が入ってて、
抜くのには力が必要だった。
くっそー・・・・・
下から「大丈夫?」って言う
貴大の声が聞こえる。
思いっきり力をこめて引っ張ると、
スポンッと本は取れた。
「わぁ!」
「あぶね!!」