初恋+one
貴大に手を振って図書室から飛び出る。
教室までの階段を上りながら、
さっきのあかりの声を思い出す。
あんなあかりの声聞いたことない。
中学からずっと一緒だけど、
あかりが泣いたとこなんて見たことない。
あかり今日はたしか、
創平くんとどこかに行ったはずだ。
今あかりの涙の原因を探すのは簡単。
創平君しかありえない。
今まで一体、何があったの?
息がハァハァ切れる中、
階段を上り終えて教室まで走る。
「あかりッ!?」
勢い良く教室のドアを開けて、
中を覗くとあかりは自分の席に座っていた。
「どうしたのあかり?
創平くんとなんかあったの?」
「乃亜・・・・・・・」
顔を上げたあかりは、
もう声は泣き声ではなくなってたけど
目が赤くなっていた。