初恋+one
「ごめんね? 急に呼んじゃって」
「ううん、そんなの全然いいよ。
それよりどうしたの? 創平くんと一緒じゃないの?」
あかりのほうに近づきながら、
ゆっくり確かめるようにそう言った。
一瞬真顔になったあかりの顔。
でもふっと笑って、
さっきの真顔を打ち消した。
窓の外を眺めながら、
いつも話すときと変わらない声。
「ねぇ、乃亜?
あたしね、乃亜に黙ってたことある」
「何?」
「あた、あたし、ね・・・・・?」
だんだんと崩れる、
あかりの“強がり”の仮面。
いつもと変わりなかった声は、
徐々に涙声に変わっていく。
それでも止めず、
話し続けるあかり。
相変わらず窓の外ばっかり見てて、
あたしの顔は見たくれないけど。
それでも話してくれることが嬉しかった。
これから出てくるであろうあかりの言葉を、
1つも逃さないように、
しっかりと耳を済ませて聞く。