初恋+one
小さな声でそう言った創平。
その声に伏せていた顔を上げた。
創平は怒ってるわけでもなく、
ましてや喜んでるわけでもなかった。
「それってさっき会った?」
「うん・・・・・・・」
「林・・・・・・は?」
“林”の名前を出した瞬間、
今まで無表情だった創平の顔が歪んだ。
「・・・・・いたよ、一緒にいた。
ゲーセンに一緒にいたのにあいつ・・・・」
右手でクシャッと前髪を掴むと、
そのまま机に顔をを伏せた。
「あかり、俺と渡辺が
一緒にいんの見たんだよ。
したらさ?
あいつなんて言ったと思う?
『ごめーん。邪魔しちゃった?
あたしもう帰るから、ごゆっくり』って。
走って出て行ったから捕まえたら、
泣いてんだよ、あかり・・・・・・
意味わかんねぇよ・・・・・・」
がしがし頭を掻く創平に、
少し違和感を覚える。
あれ? 創平って
林が自分の事好きだって知らない・・・・?