初恋+one
扉を叩くあたしの手首を
ぎゅっと掴まれた。
いきなり静かになる倉庫の中。
不謹慎なあたしの心臓は、
こんな状況にもかかわらず真剣な表情の貴大にどんどん心拍数を上げていく。
掴んだ手を見つめ、
大きく長い溜息を1つついた貴大。
「ホラ、赤くなってる」
「え・・・・・・?」
貴大の言葉に視線を手へと移動させると、
暗くてわかりにくいけど確かに手は赤くなっていた。
「意図的に閉じ込められたんだから、
開けてくれるわけないでしょ・・・・・」
「い、意図的?」
確かに。
中に入るのに少し抵抗があったあたしは、
入り口のところでビクビクしてた。
それで・・・・・・背中を押された。
もちろんそんなことになるなんて
思いもしなかったから、
そのまま前にいた貴大の背中に
ダイブしてしまったのだ。