初恋+one
一体、何度この言葉を自分の胸に言い聞かせてきただろうか?
何度、溢れる気持ちを押し込めただろうか?
その言葉を繰り返すたび、
叫ぶかのように痛み続けた胸。
ここ最近は、大分マシになってきた。
だからもう大丈夫。
もうあたしは大丈夫・・・・・・
キオクの中の貴大は、
もうあたしの中でも“友達”。
そう思ってたのに・・・・・・
ダメだった。
まだ全然忘れてなんかなかった――――
「柊、手」
――――貴大のことまだ、好きだった。
壁の高い位置にある窓は開いてて、
暗闇になれた瞳を刺激する
光が目にしみて、
なんだか涙が出そうになった。
棚のてっぺんにいる貴大は、
下にいるあたしに手を差し伸べてくれてる。