初恋+one
初めて漏れた、貴大の言葉。
聞き逃してしまいそうなほどの声の大きさに、
聞き間違いかと思った。
でもあたしが顔を上げるより前。
あたしは――――
――――貴大の腕の中にいた。
動くことを忘れたかのように思った心臓が、
また派手に暴れ出す。
あたしの左側が、
どくどくどくどく波打ってる。
でも、それと同じくらいに。
あたしの右側からも、
どくどく波打ってるのがわかった。
冷たい外気に触れてた頬が、
今では貴大の髪でくすぐられてる。
今の展開について、いけないのは
多分あたしだけ。
「貴大・・・・・・?」