初恋+one
「じゃあ、素直に言ってみたらいいと思うけど?」
「無理だよ・・・
振られるのわかってるもん」
俯きながら呟く柊の肩に手を置いてこっちを向かせる。
「大丈夫だよ。
そいつは知らないけど、好きって言われて悪い気する男はいないよ」
柊の顔を覗き込みながら
出来るだけ優しく微笑む。
「う、うううううん・・・・・・」
返事した柊の“う”の数がやたら多くて、
「ふっ。頑張れ・・・・・・」
半笑いになりながらベンチにもたれかかった。
「な、何で笑うのー!!」
「ご、ごめん・・・・・ぷっ」
「もぉー!!」
かすかに赤い柊の頬と、
かすかに高鳴る俺の心臓。
5月晴れの空には、
俺たちの笑い声が吸い込まれていく。
そしてこの瞬間から、
俺たちの心の変化と、
不思議な関係が始まろうとしていた。