初恋+one
あたしも?
「なにが?」
「だーかーらー、
乃亜も貴大のこと呼び捨てで呼びなよ」
「は・・・・・・?」
何言ってんの、あかりチャン。
唖然としながらあかりを見つめる。
いや、無理でしょ。うん。無理だ。
だってあかりとかは仲良くなって、
「呼び捨てでいー?」
「うん、いーよー」
って言う会話があるはずじゃん。
あたしそんなの全くないよ? 一言もないよ?
そんないきなりとか、
「なれなれしくない?」
「ないよ」
小さな声で独り言のつもりで言った言葉に、即座に反応されてしまった。
いやいやいやいやいやいや・・・
悩みまくって俯くと、
あたしの顔を覗き込んだ悪そうなあかりの顔。
「“オトモダチ”でしょ?」
「おっ、オトモダチだよ?」
軽く引き気味で返すとあかりの表情は、
まるで罠にはまったウサギに笑いかけるような視線へと変わった。