存在
入学式が始まる。
1年は名前順に横に並ぶ。
10人ずつくらいだから嘉奈子と近くなれた。
嘉奈子はあたしの椅子を軽く蹴ってみたり、くすぐってみたり、
たまに、小声で「つまんない」とか「早く終われー」とか言ってた。
まぁ、そんな感じで無事始業式が終わった。

「眠かった。」
と嘉奈子。
「俺、爆睡だった。」
と敬浩くん。
「爆睡って((笑。」
とあたし。
「敬浩、モテモテぢゃん。」
と言ってきたのは、隣のクラスの大石大輔。
中学校のとき敬浩くんと仲が良かったらしい…
「俺、やっぱモテちゃうんだよね。そういえば大輔、今日の部活見学一緒に回ろ」
「おう。」
「あっ!祐美、うちら一緒回ろうね。」
「いいよ。」
「ってか、次何すんのー?」
「なんか、担任が学校のこととかいろいろ話すらしいよ。」
「えー、面倒くさー。」
こんな会話をしていると
〖キンコンカーンコーン♪〗
チャイムが鳴る。
あたしのテンションは凄く下がる。
だって、席の近くには友達が居ない。
あたしは男子に話しかけたりしないし、隣はなんかよく分かんないし…
でも、静かそうと思っていた後ろの子、さっき楽しそうに喋ってたっけ。
実はあたし、最初は自分からは話しかけないタイプ。
でも、向こうから話かけてくれる様子もないし、つまんないし…
勇気を出して話かけてみた。
「ねぇ、あたし祐美。」
ちょっと軽かったかな?
「あっ、わたしは松本楓。」
「よろしくね。」
「うん。」
楓といろいろ話した。
どこの中学から来たのか…とか。
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