好きと嫌いの割合
そうこうする間にも
海斗があたしのクラスを通り過ぎようと
変わらぬ足取りで近づいてくる。
「1人なの珍しいし
声、掛けちゃおっか?」
なんて亜美は、無邪気にはしゃいでる。
近づいてくる海斗をボーっと見ていると
あたしの視線に気づいたのか…
それとも偶然か…。
パッチシ、海斗と目が合った。
視線を外すタイミングを逃したあたしは
内心オロオロしながら、さりげなく視線を亜美の方に向ける。
姿は見えないが足音がどんどん近くなる。
それはまさにあたしの所に向かっているような足音で…
「ちょっと夏帆!」
亜美が小声で言うときには遅く、
「夏帆」
海斗のあたしを呼ぶ声がはっきりとあたしの耳に届いた。