好きと嫌いの割合

「眩しっ…」


暗い古びた階段を上がってきたせいか、

それとも、最近“ここ”に通ってなかったせいか、

あたしは太陽の眩しさに反射的に目を瞑った。


その眩しさはチカチカと瞼の裏まで届いていたけれど

黒い影でその光が遮られた。


ゆっくり目を開けながら

外の明るさに慣れようとしていたら


「眩しいの?」


海斗が目の前で屈んで、

あたしの方をジッと見ていた。


「眩しいってか‥まあ、そうなんだけど」


そう曖昧に答えると、

クスッと笑った彼が


「もうすぐ夏だしねー」


なんて、優しく微笑む。



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