好きと嫌いの割合

そのなんとも言えない雰囲気に耐えれなくなって

「部屋行くね。」って声をかけて

自分の部屋に行こうと口を開いたら


「俺、そろそろ帰りますね」


そんな海斗の言葉に遮られた。


「お、もう帰るのか?お茶も出さないで悪かったな」


「はは、お構いなく。

 行くとこあったの思い出しただけなんで」


『行くとこって…あの子のとこ?』

思わずそんな嫉妬心丸わかりな言葉を吐き出しそうだった。


「夏帆、ばいばい」


雅兄に見送られて帰る海斗が玄関を出るとき、

きっと振り返ってそう言った。

振りかえったかどうかが分からないのは、あたしが俯いてたから――。


嫉妬心丸だしのこの酷い顔を見られたくはなかったんだ、

絶対に。



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