好きと嫌いの割合
「海斗、その顔で言う~?」
思わず笑いが零れる。
可愛いなんて言い慣れてるんだと思ってたのに
必死になって言う海斗の方が可愛い。
「夏帆、笑いすぎ…」
耐えきれなくなった海斗は
顔を左手で隠し、少し涙目の顔で睨んだ。
また、この顔が可愛く、
「海斗ってば可愛いんだ!!」
男子に“可愛い”は禁句だと亜美に言われたが
つい言ってしまうあたしは
調子にのりすぎたらしい――が、
「夏帆、いい加減にしないと襲う」
普通ならそう言われて危険信号が出るはずなのに
あたしはそうじゃなかった。
「海斗ってば、いつまで顔赤いのよ」
「う゛ぅ…」
そう言う間に、また赤く染まっていく顔。
もはや左手だけでは隠しきれない。