好きと嫌いの割合

「海斗、その顔で言う~?」


思わず笑いが零れる。


可愛いなんて言い慣れてるんだと思ってたのに

必死になって言う海斗の方が可愛い。


「夏帆、笑いすぎ…」


耐えきれなくなった海斗は

顔を左手で隠し、少し涙目の顔で睨んだ。


また、この顔が可愛く、


「海斗ってば可愛いんだ!!」


男子に“可愛い”は禁句だと亜美に言われたが

つい言ってしまうあたしは



調子にのりすぎたらしい――が、


「夏帆、いい加減にしないと襲う」


普通ならそう言われて危険信号が出るはずなのに

あたしはそうじゃなかった。


「海斗ってば、いつまで顔赤いのよ」


「う゛ぅ…」


そう言う間に、また赤く染まっていく顔。

もはや左手だけでは隠しきれない。



< 31 / 160 >

この作品をシェア

pagetop