好きと嫌いの割合

傾きかけた太陽は色を変え、夕焼け色。


「もう、結構回ったし

行くとこ“ここ”しかないかなあーと思って」

そんな夕日に当てられながら

大きく手を上げ、欠伸する海斗。


「他に行きたいとこあった?」と、欠伸したままの体制から

顔だけをあたしの方に向ける海斗に

「別に」と答える。


そんなあたしに、


「こっち、こっち」


と、手招きして

いつもあたしが座ってる場所の横に腰を下ろす海斗。


あたしは少し履いているスリッパを引きずりながら

いつもの場所に座る。


「やっぱここはいいなあー」


しみじみと語る海斗に


「なんか、おじいちゃんみたいだよ?」


クスクス笑いながら言うと

怪訝そうな顔をして


「俺に盆栽の趣味はない!!」


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