ジオラマの日常


家に帰れば、テストのために教科書とノートを開いて机に向かう。

学校の成績は、決して悪くない。

だけど、あたしはこの知識がいつどのような場所で発揮できるのかを知らない。

ただただ言葉の羅列を追って頭に叩き込んでいるだけだ。


例えば、歴史。
教師が黒板に書いた年号と単語を一致させて形式を完成させるだけ。


『この年に起こった戦争では、たくさんの犠牲者がでました。はいじゃあ次のページを開いてください』みたいな。

その戦争を経験したひとの痛みや悔恨や言葉にならない想いは、教師のそんなたった一言で終わる。


その口で最近の子供は他人の痛みに鈍感だって言っても説得力がない。


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