はちまきに想いを込めて


「よーい」

パンッ


リレーが、始まった。


1年生が勢いよく駆け出した。

さすが代表なだけあって、みんな足が速い。


赤組は今のところ1位。

そのままの順位でバトンが渡ればと、祈っていると。



「……あっ!!」



1年生の女の子が、勢いよく転けてしまった。

急いで立ち上がって追いかけるも、順位は3位。


バトンが回った3年生も、前の二人を追いかける。


しかし、順位は変わらないまま、あたしにバトンが回ってきた。

あたしは懸命に走った。


敬吾くんのため。

チームのため。


ただひたすら、走った。


敬吾くんにバトンが回る頃には、一人抜いていて。



「敬吾くんっ、お願いっ!」



そう言ってバトンを渡すと、



「まかせてっ!」



そう笑って、敬吾くんは飛び出していった。




< 15 / 25 >

この作品をシェア

pagetop