はちまきに想いを込めて
「よーい」
パンッ
リレーが、始まった。
1年生が勢いよく駆け出した。
さすが代表なだけあって、みんな足が速い。
赤組は今のところ1位。
そのままの順位でバトンが渡ればと、祈っていると。
「……あっ!!」
1年生の女の子が、勢いよく転けてしまった。
急いで立ち上がって追いかけるも、順位は3位。
バトンが回った3年生も、前の二人を追いかける。
しかし、順位は変わらないまま、あたしにバトンが回ってきた。
あたしは懸命に走った。
敬吾くんのため。
チームのため。
ただひたすら、走った。
敬吾くんにバトンが回る頃には、一人抜いていて。
「敬吾くんっ、お願いっ!」
そう言ってバトンを渡すと、
「まかせてっ!」
そう笑って、敬吾くんは飛び出していった。