はちまきに想いを込めて
それからはもう、すごかった。
敬吾くんは、一気に前との距離を縮めて。
ゴール手前、
一気に抜き去って1位に。
そのまま、ゴールテープを切った。
あたしは一瞬、何か分からなくて。
まわりの喜びの声で、じわじわと嬉しさが込み上げた。
すごい、すごいよ敬吾くん。
あたしが感動してると、敬吾くんは笑顔で駆け寄ってきた。
「結愛!」
「敬吾くん…」
「やったよ! 1位だよ!」
敬吾くんは、本当に嬉しそうに笑った。
「敬吾くんが、頑張ったからだよっ」
「ちょっ、何泣いてんのっ?」
いつの間にか、涙が溢れ出してた。
本当に感動して。
泣くあたしを見て、焦る敬吾くん。
「ほら、1番になったのは、結愛が頑張ったからだよ?」
そんなこと言ったら、涙止まんなくなるよ…