はちまきに想いを込めて
敬吾くんに支えられながら、あたしは退場した。
退場門のすぐそばで、あたしを慰めてくれる敬吾くん。
「結愛、大丈夫?」
「だいっ、じょぶっ」
「もー、大丈夫じゃないじゃん」
そう言って、あたしの後頭部に腕を回す。
そのまま、あたしの体を引き寄せた。
あたしの目の前には、敬吾くんの胸があって。
びっくりして涙は止まった。
「ほらっ、閉会式始まるし行こ?」
見上げると、敬吾くんは微笑んで言った。
あたしも笑って頷いた。
閉会式が始まった。
結果発表。
あたしたち赤組は、なんと優勝。
最後のリレーで、一気に巻き返しができた。
嬉しくて、あたしはまた泣いた。
ふと男子の方を見ると、敬吾くんと目が合った。
そっと笑いかけてくれたから、あたしも笑い返した。