はちまきに想いを込めて
玄関に向かうと、誰もいなかった。
もう5時を回ってる。
こんな時間まで残ってるの、あたしぐらいだよね。
そう思いながら、靴を取り出す。
その時。
「結愛」
いきなりした声。
なんで…?
なんでいるの…?
「敬吾くん…」
振り返ると、そこには敬吾くんがいた。
「随分遅いんだね」
「うん…」
敬吾くんの顔が、よく見えない。
なんであたしに声かけるの?
「敬吾くんも遅いんだね…」
誰か待ってるのかな?
もしかして…あのはちまき交換した子かな?
「結愛を、待ってた」
………え?
「あた、し…?」
「うん」
あたしを待ってた?
状況がよく、飲み込めない。