はちまきに想いを込めて
「結愛、好きだ」
耳元で囁く敬吾くんに、あたしは涙が止まらなくて。
それでも必死に、想いを伝えたんだ。
「あたしもっ…好きぃ…」
敬吾くんの背中に腕を回して、きつくしがみついた。
大好き…
大好きだよ…
あたしの涙が止まり始めた頃、体を離した。
敬吾くんが、持っていたはちまきを差し出す。
「結愛、はい」
敬吾くんの差し出すはちまきを、あたしは受け取った。
そして、首に掛けっぱなしだったはちまきを、敬吾くんに渡す。
敬吾くんは、笑顔で受け取ってくれた。
「大事にするね」
「うん」
ただのはちまきだけど、あたしも大事にしようって、
そう思ったんだ。