The Last Story
10歳の頃私が一度この城から抜け出そうと思った事があった。
その頃は、まだ外のことなんて憧れていなくてただ父親であるディーン王に起こられたと言う些細な理由でした。
その時はちょうど貿易商の人々が入るために橋が下ろされている時でした。

『ロクシャーネ様....ロクシャーネ様!!』
遠くからタウロンが呼んでいる。
私はそれを無視してバラの大庭園を抜け橋に向かって走る。
タウロンはそんな私を追いかけて来る。
大きな距離があったけどやっぱり大人と子供の足の速さは歴然で、直ぐに追いつかれてしまった。
タウロンは私の肩をつかんで息を切れ切れにしながら言う。
『姫様....どおして城をでようと....』
その頃の私は強がりで父親にただ怒られたからだとは言えなかった。
『私、外に出たくなったの。ただそれだけよ』
タウロンは困った顔は今でも覚えている。どうしたら納得させられるのだろうと言う困った顔。
『今は無理なのです。ロクシャーネ様はこの国に必要なのです』
『じゃぁ!....尚更国を知るために町に行かないといけないんじゃないの?国は城だけを見て国と言うのではないのだから』
タウロンはより困った顔になりながらも言った。
『では大人になってから...そうしたら私からも王に言いますので今回は....』
今思えば的をいていて我ながら良いことを言ったと思った。しかし、私はタウロンの困った顔とその約束に折れそのときは城に素直に帰っていった。
タウロンと帰る最中に見えた橋の閉じる様子を見て、私があそこを越えるのはいつになるのだろうと思った。

< 15 / 16 >

この作品をシェア

pagetop