サクラ咲く頃に
楓は、再び沈黙した。





でも、またすぐに喋り始めた。






「………私、ずっと伊勢さんと友達になりたかったんだ」






「えっ?」






「頭も良くてスポーツもできて。おまけに顔が可愛くて。私の、憧れなんだ。伊勢さんは」





「…………」





「やっと友達になれたの。勇気を振り絞って声を掛けたら、友達になってくれたの。そんな伊勢さんが、初めて私に頼んできてくれた願い事なの!だから、お願い!裕樹くんのアドレス、教えて!」






楓は、私に頭を下げた。






目の前で、こんなに友達が頼んでいるんだから






それを見過ごすわけにはいかない。
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