机の中の恋
忍び寄る陰
木曜日の誉木のさしいれは、クッキーからミニケーキになり
今では弁当になっていた。
「おはよう摺月くん」
笑顔で誉木が僕の前に現れたのは、一限目のあとの休み時間。
「おはよ、今日朝から来てたのに…お前いなかったな」
「…あ、あはは。捜し物してて」
「?…ふーん。言ってくれれば手伝ったのに」
「ごめんね、来てるのに気付かなくって…」
誉木は頬を掻きながら言った。
ふと、目を移した誉木の上履きはボロボロだった。
「お前…上履き…」
「……」
「どうしたんだよ」
「……」
「…誉木!!」
「何でもないの、ほんとだよ?
大丈夫、平気だから」
不自然に明るく振る舞った誉木は、慌てて走り去った。
僕は、僕と誉木の間に忍び寄る陰に、ようやく気付き始めた。
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