机の中の恋
「何だよ、話しって」
僕は、常葉に呼び出されていた。
誉木のことで話しがあると。
常葉はフェンスに手をかけ、グラウンドを見下ろした。
ここは屋上だ。
「…誉木ちゃん…やべーぜ」
「あ?」
「…山羊だ」
山羊…というのは、動物園とかにいる山羊ではない。
僕や常葉の中学からの同級生で
ギャルグループのリーダー的存在
山羊アケミ。
僕の苦手な女の一人だ。
「山羊…」
「あいつが色々と誉木ちゃんにやってるらしい。
あの娘、自分では言わないみたいだけど」
「あいつが誉木に嫌がらせ…ね」
グラウンドでは、誉木が体育の準備体操をしていて
その様子を山羊と他の女子が離れた場所で睨んでいた。
僕は、昔山羊に付き合おうと言われたことを思い出した。
冗談でだったが――。
まさか、な。