机の中の恋


「何だよ、話しって」


僕は、常葉に呼び出されていた。


誉木のことで話しがあると。



常葉はフェンスに手をかけ、グラウンドを見下ろした。

ここは屋上だ。



「…誉木ちゃん…やべーぜ」

「あ?」

「…山羊だ」



山羊…というのは、動物園とかにいる山羊ではない。



僕や常葉の中学からの同級生で

ギャルグループのリーダー的存在


山羊アケミ。



僕の苦手な女の一人だ。





「山羊…」

「あいつが色々と誉木ちゃんにやってるらしい。
あの娘、自分では言わないみたいだけど」

「あいつが誉木に嫌がらせ…ね」




グラウンドでは、誉木が体育の準備体操をしていて

その様子を山羊と他の女子が離れた場所で睨んでいた。




僕は、昔山羊に付き合おうと言われたことを思い出した。


冗談でだったが――。







まさか、な。
< 15 / 32 >

この作品をシェア

pagetop