音色
尚央は、絵を描くのが好きだった。

小さい頃は、私が玩具(おもちゃ)のピアノを弾いている横で、尚央が絵を描いているのが日常だった。


『ねえちゃんは、ぴあにすとになるの?』

『ううん、かしゅだよ。おねえちゃんは、かしゅになるの』

『ふぅん…ねぇ、これなんのえか、わかる?』

『…おんなのこ?わかった、おかあさんでしょ』

『ちがうよ』

『じゃあ、となりのミカちゃん!』

『……』


『お姉ちゃんを描いてあげたのよね、尚央?』



尚央は、いつも私の隣にいた。


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