音色

家に帰ると、上着を脱いでラジオをつけ、重たい体をベッドに横たえた。



曇り空。
もやの中。
一瞬、何も見えなくなる。



――私はいきなり起き上がると、鞄から小さな英単語帳を引っ張り出し、赤シートの挟んであるページから、ぱらぱらと読み始めた。


私の気持ちとは裏腹に、ラジオからは明るく爽やかな歌が流れてくる。


黄緑色。一点の混沌もない、一面同じ色。

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