音色
「司沙、何それ?珍しー」
会う友達のほとんどが、おはようの言葉の次に、私の首元に注目する。
学校には時計以外に装飾品を身に着けていかない私が、こんなに目立つペンダントをしているのは、確かに不思議なことではあった。
「司沙もついに色気づいてきたんだねぇ」
両耳にピアスを空けた香菜子が、ポンポンとあたしの肩を叩く。
身なりに敏感な彼女は、時々私にもいろいろとアドバイスしてくれる。
大きなお世話ではあるけれど、この遠慮の無さが人に疎(うと)まれることはあまりなかった。
「香菜子、勉強しなよ。一限小テストあるんだから」
「あ、何それ?何ごまかしてんのー?」
この無意味な秘密が、私には心地良かった。