音色
六月も半ばを過ぎ、日が暮れても肌寒さを感じることが少なくなった。
クラスの女の子四人で歩く街には、もう半袖やサンダルといった軽装が珍しくない。
駅へ向かう人波の中で、ふとため息をつく私に、彩が隣から笑う。
「今日はすっかり人気者だったねえ」
「そんなことないよ」
「ね、それもしかしてプレゼント?」
歩みを止めた私の顔を、彩がのぞきこむ。
「え!何もしかして…」
「ちょっと何、司沙!受験生なのに彼氏ー?」
彩の声に反応して、他の二人まで食いついた。
「違うよ!そんなんじゃなくて…あ」
目をそらした先に、見覚えのある茶髪が現れた。