音色
「よ、司沙!お疲れ」
「翔平…!」
改札口の脇の壁に預けていた背を離し、ニコニコしながら歩いてくるのは、大きなギターケースを肩に掛けた翔平だった。
なんてタイミングの悪い…。
「ちょっと、めっちゃかっこいいじゃん!」
「司沙ずるいよー、何で言ってくれないのぉ?」
彼女たちは頬を少し染めながら、嬉しそうな顔で口々に怒る。
「だから、そんなんじゃないんだってば…。翔平、こんなとこで何してるの?」