音色
「…私がついてく。彩と一番家近いし。二人には帰ったらメールするから」
「えーっ、司沙ずるい!」
不満げな2人には申し訳ないけれど、彩の目がそれを望んでいることは明らかだった。
家まで向かう電車が途中で愛菜と姫乃を降ろしてから、私たちは駅に着くまで何も話さなかった。
私の家の最寄り駅より二駅手前で電車を降り、薄暗い中を二人並んで歩いて行く。
「…ねぇ、司沙」
突然、彩が口を開いた。
「なに?」
「…笑わないで、聞いてくれる?」
「うん…どうしたの?」