音色
薄暗い帰り道、眩しいオレンジ色の空へ向かって、溜め息をついた。

二者懇談より、もっと憂鬱でもっと不安な時間が待っているからだった。


お母さんは、模試の結果を喜ぶに違いない。

国公立も行けるかもなんて言ったら、さらに喜ぶだろうな…。



電車の中から、山の向こうへ沈む夕日が見える。

行かないで、と心でつぶやいた。

時間が止まってくれたらなんて、そんなバカバカしいことも、最近では毎日本気で考えるようになった。


話したくない。


進路のこと、将来のこと、夢のこと。


話したくない。

< 9 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop