音色
夏休みの模試は、その休みが明けた月曜日だった。
「彩、調子どう?」
「何かね、あれから勉強が難しく感じることが少なくなったの。必ず解ける問題なんだって思えるようになったんだ」
「さすが、彩だね。私なんか、横で聞いててもあんまり分かんなかったのに」
彩が明るく笑うので、愛菜と姫乃がにらむようにあたしたちを見つめる。
「何でいつの間にか元気になってるのさ」
「司沙、何したのぉ?秘密の話?」
彩と私は目を合わせて首をひねると、補習用の問題集をわざとらしく広げ、一生懸命勉強するふりをしてみせた。