Valentine Fake(Intron crack企画)
「これあげる!」

俺に駆け寄りながら、裕美は背中に回した両手を差し出した。

小さな手のひらに、赤い小さな包み。

丁寧に白いリボンまでかけられている。

走ってきた拍子にセミロングの軽くカールした毛先が、両肩で揺れた。

近づいただけで石鹸の良い匂いがする。




「はい! 義理チョコ」

裕美の言葉に俺は思わず吹き出した。



「そんなはっきり言わなくても」
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