意味するもの。その先にあるもの。




重い空気が流れる部屋。
地べたに無造作に座り込む博貴 亮 章大 忠義。
そして頭に巻かれた包帯が痛々しく見える隆平。
裕の傍らには信五とすばる。
   
「戦いの始まりやって言うてたわ。」

沈黙を破るかのように話す章大。
   
「やってくれるやん。笑わせるなや。」

口元を引き攣らせる博貴。
   
「舐めたマネしてくれるな。」

拳を強く握り締める忠義。
  
「裕。どうするや?」

怒りを口にするメンバーをみかね
裕へと視線を移すすばる。
   
「このまま何もしないんか?」

口を開こうとしない裕に
苛立ちながら言葉をぶつける博貴。
   
「やられたまま黙ってるつもりなん?」

博貴の次には章大。
次々とあびせられる怒りの言葉。
   
「隆平みいや。このままでええはずないやろ?」

怒りを堪えながら裕へと視線を向ける。
   
「俺はええよ。たいした怪我やない。」

場の空気を換えようとする隆平。
   
「せやけど。」

そんな隆平の言葉に唇を噛み締める章大。
   
「悪いがしばらく様子みいひんか?」

やっと口を開く裕の思いがけない言葉に 
動揺するメンバー。
   
「どうしてや。」

納得の出来ない博貴。
   
「そんなに騒ぐなや。裕には裕の考えがあるんやろ?」

裕を見つめる亮。
   
「意味のない喧嘩はしたくないと思ってん。」
「隆平の怪我。それでも意味ないんか?」

裕の言葉に被せるように非難する忠義。
   
「隆平には悪いと思うてる。せやけど今は様子をみたいんや。」

目を泳がせ答える裕。
気まずい空気。
再び黙りこむ裕。
   
「ええよ。俺は裕を信じてるから。みんなもそうやろ?」

ずっと黙り込んでいた信五が口開く。
   
「信五。」

信五を見つめる裕。
その瞳は微かに震え。




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