意味するもの。その先にあるもの。
前兆
立ち並ぶ古ぼけた工場倉庫。
塀に寄りかかり
ポケットから煙草を取り出す亮。
反射的に博貴がライターを差し出す。
落ち着かない様子の二人の元に忠義が走り戻ってくる。
「あかん。あっちも無茶苦茶や。」
割れたガラスの残骸。
スプレーの落書き。
「何なん?『夜露死苦』って。」
スプレーで書かれた文字を拳で殴る博貴。
「派手にやってくれてんな。」
苦笑いをこぼす亮。
「このまま黙って見てるんか?」
「好きにさせてたまるかよ。」
表情を歪ます忠義と博貴。
「しゃあないやろ。様子をみようって裕が言うたんやから。」
二人を諭すかのように話しかける亮。
「せやけど。このままでええわけないやろ。」
亮の言葉に納得のいかない博貴、
「このままじゃ時間の問題や。」
周りを見わたしながら博貴に続く忠義。
「かもしれへん。せやけど今は待つしかないねん。」
ガラスの散乱する道端を歩く。
ガラスに光が反射する。
壁に書かれた落書きを見つめる1つの影。
「噂をすればやな。中丸や。」
博貴が指を刺す先に佇む中丸の姿。
「あいつ何してんねん。一人で。襲って言うてるもんやろ。」
笑いながら答える忠義。
「裕の言うた意味わかってんよな。」
二人の目をみて問いかける亮。
「手はださへんよ。」
雄一の肩へ手をのばす博貴。