意味するもの。その先にあるもの。





ただひたすら走る。
細い道をいくつかの曲がり角を通り抜ける。
後ろ振り向き何度も確認しながら走る聖。
雄一の手を強く掴み。
   
「どうやら。本当に戦うつもりはないみたいだな。」

足を止め歩き出す聖。

ハァハァ。

乱れた呼吸。
雄一はその場に足を止めボーっと空を見上げる。
青い空に1つだけ浮く白い雲。
   
「行くよ。」

雄一の手に引っ張られ振り向く聖。
   
「どうした?」

空を見上げたまま動かない雄一。
   
「どうしっちまったんだよ。雄一。」
「…。」
   
「何で何も話さねぇんだよ。お前らしくないんだよ。お前はいつも笑ってたじゃねぇか。
ふざけて悪戯したりなんかしていつも笑ってただろう?なのに何で。何で?何も話さな
くなっちまったんだ。」

感情的になる聖。
表情1つ変えない雄一。
ただ話すことを忘れてしまったかのように空から目線をかえ聖の顔を見つめる。
   
「ごめん。戻ろうか?」

笑顔を向け歩き出す。




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