意味するもの。その先にあるもの。
太陽の光を遮る建物。
人気がなく薄暗いビルの間を
勢いよく走り抜けるすばると章大。
乱れる呼吸と滲み出る汗が額を濡らしていく。
「何やねん。」
後ろしきりに確認するすばる。
確実に追ってくる二つの影。
「どうするよ。」
息をきらす章大。
「あの曲がり角曲がったらすぐ左の建物に入れや。」
指をさす先には薄暗い建物。
「すばるは?」
心配そうにすばるを見る。
「俺がおとりになるわ。」
「何言うとるん?」
すばるの言葉に驚きが隠せない章大。
「お前。もう限界やろ?それに俺一人やったら逃げ切れる。せやから安心しいや。」
心配する章大を横に逃げる道を探すすばる。
「捕まるなや。」
「わかってるがな。」
笑顔をむけるすばる。
曲がり角に差し掛かると
こうを描くように曲がる。
隙をついて左の建物へと身を隠す章大を見送ると
全速力で走るすばる。