意味するもの。その先にあるもの。
ポツポツ。
水滴の落ちる音。
冷たく感じられるコンクリートに囲まれた部屋。
ひび割れた壁から太陽の光が漏れる。
まるで天から光が降り注ぐように
温かさを感じる光。
その光とは反対に穏やかではない和也の表情。
煙草を一口吸っては消してと同じ動作を繰り返す。
「少しは落ち着けって。」
見かねた仁が口開く。
「ああ。」
素っ気無く答えると
煙草を一口吸う和也。
「心配なら自分が行けばよかったじゃん。」
「うるせぇ。」
嫌味っぽく微笑む仁から目を逸らす和也。
「雄一。どうしちまったんだろうな?」
天井を見上げ問いかける。
「…あいつのせいだ。あいつが雄一から笑顔を。…智久の命を奪った…。」
急に鋭い目つきへと表情を変える。
握り締めた拳に力が入る。
「智久の死。あの日からお前はかわちまったな?」
天井から和也へと切なそうに和也を見つめる仁。
「…。」
その言葉に黙り込む。
「智久の死は俺も正直こたえた。あいつは俺の親友でいいライバルで。亀梨。お前と横山のように。」
「その名前は二度とだすんじゃねぇ。」
横山の名が出ると急に大声をあげる和也。
仁の胸倉を掴む。
「わりぃ。」
苦笑する仁。
両手をあげ降参のポーズをとる。
手を離す和也。
「俺も。俺もあいつのこと大嫌いだわ。」
背を向ける和也に声をかける仁。